釜山最大の海鮮市場であるチャガルチ市場。10~20年ほど前は安くてうまい、その名の通り韓国海鮮料理の総本山にして頂点に君臨していた。新東亜水産物総合市場内にひしめきあう鮮魚売り場は、生け簀の中の魚や貝、えびを選んでお任せで調理してもらう、というシステム。当時は手長だこの刺身であるサンナッチ、 韓国では大変ポピュラーな白身魚のクロソイ(우럭:ウロッ)、ナマコなどメインどころはほぼ2~3万ウォンほどだった。ビール、焼酎は3000ウォン。3000円もあればおなかいっぱいになりかなり酔いが回るほどお得感があったが、値段が次第に上昇し、昨今はきちんと値段交渉しないと“ぼったくり”被害にあうほどだ。
今はどうなっているのか。チャガルチ市場の新東亜水産物総合市場内の店舗を調査してみた。生け簀の魚をのぞき込んでいると店主が「ニホンジンデスカ?」「コレ、オイシイデスヨ」などと声をかけてきて、その日のおすすめを教えてくれる。
よく見ると各店舗そろってメニュー(価格)表を出している。
こちらのお店は石鯛刺身の中が9万ウォン(約9000円)、クロソイ(ウロッ)、ヒラメ(クァンオ)が同じく6万ウォン(約6000円)。ひところの2倍はする。
筆者の大好物サンナッチ(手長だこ)の刺身は、包丁でぶつ切りにされ皿に盛られたタコがくねくねと動いていることから苦手な方も多いだろうが、塩とごま油のたれにつけて食べると最高だ。小で2万ウォン(約2000円)。タコの数は3匹だそうだ。
各店舗とも似たり寄ったりだが、細かく見るとホヤが「中」からの店と「小」からの店が混在しており、少しずつ値段は異なるように見える。ただ、「ホヤの小はいくつですか?」と聞くと「中からしかない」といった返事だった。
全体的な印象はやはり割高。では屋外の店はどうだろうか?
ホヤはビニール1袋で1万ウォン(約1000円)。ナマコも3匹で同じく1万ウォンだ。これは安い。
このぶっといタコは3万5000ウォン(約3500円)。
手長だこは手前の1皿が1万5000ウォン(約1500円)。奥が1皿1万ウォン(約1000円)。小ぶりだが、5~6匹ある。つまり屋内店舗の半額ほど。
屋外、屋内それぞれ比べてみると、屋外の店舗の方が圧倒的に安い。
ただし、屋内店舗は海鮮そのものは割高でも野菜やおかず類をそろえてくれるサービスがある。お酒もビールや焼酎がある(1本各5000ウォン、500円)海鮮店舗=海鮮居酒屋という構図だ。これに対し屋外の店舗は自宅用にお持ち帰りが基本。ホテルで食べてもよいが後始末が大変だし、洗面所を汚すと迷惑がかかる。
やはりチャガルチ市場で刺身を食べればハイな気分になるし非日常を求める観光の満足感が高まる。できるだけ3,4人で出かけて2,3種類くらいを注文しシェアして楽しむのがいちばんリーズナブルかもしれない。