旅行予約サイトの危険なところは現状を反映しない過剰な修正写真だ。今回泊まったパーム ビーチ ホテル もきらびやかで旅行者の旅情をそそる写真ばかりだった。清潔な部屋、ロマンティックなバルコニー、部屋を飾るフラワーやフルーツ…。チェックインするとそんなものはひとつもなかった。目の前に広がっていたのは信じられない惨状であった。
ニャチャンでは1泊1500円程度でも東京で1~2万円クラスの部屋が予約できる。それほどリーズナブルでかつホテルの質が全体的に良いのだ。ところがこのホテルは違った。正面玄関を入って暗い雰囲気のこの階段を上ったところから悪い予感がした。
殺風景なフロント。1泊1490円。クレジットカード決済ができないためベトナムドンでのキャッシュ支払いを求められた。雨が降っていたので「傘はありますか」と聞くと「ありません」とぴしゃり。ホスピタリティ精神が皆無だ。
フロント奥にあるプール。底に沈殿物があり泳ぐ気にならない。
部屋は6階。広さは25平米とまずまず。
ベッドに問題はなかった。
バルコニーの扉はきちんと閉まらず下に隙間が。外気が吹き込んで寒い。
こちらの窓ガラスもきちんと閉まらず隙間があるため寒気が吹き込む。宿泊当日のニャチャンは天候が悪く朝から豪雨で気温も低め。風邪を引いてしまった身としては寒い隙間風が入り込む部屋は最悪の環境だ。
バルコニーは清掃した気配なし。汚れ放題だ。
トイレと洗面台の間にはガラスの仕切りがある。この点は良かった。ただ、シャワーのお湯は当初熱かったものの10分ほどして徐々に水温が低下。終盤は真水に。これはひどい。
壊れたコンセント。
このドライヤーも珍しい一品。1分ほど使用すると自動で切れてしまう。5分くらい時間をおくと再び作動する。たまにこういうタイプのものがあるが、こんな弱いドライヤーは初めてだ。
洗面台の排水溝の蓋がないためフロントに出向いて抗議。これでは清潔な洗濯ができないからだ。
女性スタッフが別の栓を持ってきてくれて応急処置。
唯一の評価点はまともな冷蔵庫があったこと。おかげでシャワー後、冷たいビールが飲めた。
しかし、その冷蔵庫もパッキンの回りはカビだらけ。
2泊予約したのだが、1泊目でほぼギブアップ。支払いを済ませているので我慢するしかないか、と諦めていたところ朝方停電で室内真っ暗に。10分後に復旧したが、Wifiがダウンしてしまった。部屋で作業できないのでこれは非常に困る。女性スタッフが廊下に脚立を立ててWifiの装置を点検しているが、復旧の見込みはないという。
逆境こそチャンスだ。筆者はすかさず「ネット利用が宿泊の条件。ネットが使用不可ならチェックアウトする。支払った宿泊費の半分は返金してほしい」とねじ込むとフロントの男性スタッフは諦めたような表情で「OK」。
ハプニングではあったが、こうしてドイヒーなホテルからの脱出に成功したのであった。それにしても酷いホテルだった。もちろんスタッフらに責任はない。経営サイドは部屋をきちんと点検しているのだろうか。
おそらくこのエリアでは、老舗のホテルだったのだろうが、近年隣接地に次々と新ホテルが建設され取り残されてしまったかのよう。経営陣はリニューアルに迅速に取り組みべきだが、放置したままだ。それを覆い隠すため予約サイトの写真を盛って虚飾のホテル像をPRしている。極めて悪質である。ニャチャンに行く予定のある方はこういう劣悪なホテルがあることを頭の片隅に入れておいてほしい。