ベトナム中部に位置するホイアンの名物料理の1つとして有名なカオラウ。ベトナム語と漢字表記はそれぞれ「Cao lầu / 高樓」。汁なし混ぜ麺で、米粉麺・焼豚・野菜・揚げた餅などを甘辛いタレで和えて食べる料理だ。

「高層の楼閣」という意味があり、かつて高層階から船の出入りを見ていた商人が食べていたという説や、中国の「乾撈麺」、日本の「伊勢うどん」が起源という説がある。歴史と文化が融合した独特の麺料理というわけだ。
特徴は何といって麺。 米粉の太くて平たい麺で、灰水を使うため茶色がかっており、特有のザラつきとコシがある。太目の蕎麦切りのようで、食べ応えがシコシコと抜群だ。
具材としては 薄切りのローストポーク(焼豚)、揚げたワンタンや餅、もやし、ハーブ(ミント、コリアンダーなど)が乗っている場合もあるし、別盛りで出されることも。 スープはなく、どんぶりの底にたまっている醤油ベースの甘辛いタレを麺に絡めて食べる。麺のコシ、肉の旨味、野菜の新鮮さ、揚げたもののカリカリ感、タレの甘じょっぱさが一体となった独特の食感と味わいで旅行客を虜にする絶品料理である。
生まれて初めて食べたベトナムの味に打ちのめされた思いだ。これは旨い!ホイアンに来て本当に良かったと思うほど。
1軒目
ホイアン到着後、最初に食べたカオラウはこちらのお店にて。IvyHOTELから徒歩1分ほどの地元客が多い食堂で初体験。

日本語メニューがある。カオラウは№22番。3万ドン(約180円)。

分厚いチャーシューが3枚に揚げ餅、もやす、ハーブがのっている。

麺は太くてもちもちだ。底に甘じょっぱい汁があるので麺にからめて豪快に食べる。

半分ほど食べたら卓上の唐辛子味噌、ライム追加、青唐辛子を少しだけかじって味変。

青唐辛子が強烈な辛さ! 汗が噴き出してきた。この刺激が堪らない。

2軒目
ホイアン観光のハイライトである来遠橋(Japanese Covered-Bridge)のすぐ脇にある店。


カオラウは3万5000ドン。こちらは観光名所料金でやや高め。

注文して1分で出来上がり。1軒目とほぼ同じだが、上に乗っている揚げせんべいがやや滑らか。別盛りの野菜はついていなかった。



唐辛子オイルはなく、卓上の青唐辛子をかじりながら食べてみた。

ライムをたくさん投入し柑橘味を多めにする。酸味が増して旨くなる。麺のもちもちと揚げせんべいのカリカリ、チャーシューのもっちりさ、ハーブ野菜の香ばしさが口の中で混然一体となり、至福の味わいだ。
3軒目
ホイアンでは2食しかカオラウを食べなかったので、非常に物足りない気分だ。ホイアンの名物料理ということだが、実はダナン市内の食堂でも普通に食べられる。
ショッピングモールのGOダナン近くにあるこちらの店。若い夫婦と祖母が赤ちゃんをあやしながら働いている。時々、お客さんが赤ちゃんをだっこしてあやしている。心温まる光景だ。



入り口にある寸胴鍋に真っ赤なスープ。カオラウの灰色がかった麺もある。


メニューはこちら。

カオラウのスモールを注文。2万5000ドン。こちらのお店のカオラウは野菜を乗せないタイプ。別盛りの野菜をたっぷりのせてかぶりつく。おー、旨い!



ライム、唐辛子油、唐辛子味噌で味変してみる。こくが増してさらに旨くなる。
店によってカオラウの仕上げ方が微妙に異なるのは面白い。別盛りの野菜を出す店、出さない店、といった違いもあった。それぞれお店のポリシーやレシピにこだわりがあるのだろう。個人的にはダナンで食べたカオラウがいちばん美味しかったような気がした。多分にお店の雰囲気もあるのだろう。いずれにせよ、カオラウの旨さに感激したのは確か。伊勢うどんルーツ説もあるが、これはやはりベトナムの味だ。
【了】

