パタヤと言えば必ず訪れる食堂がある。言わずと知れた「名無し食堂」だ。普段は夜中に一杯飲んでから〆で行くことが多いのだが、今回はムアンパッタヤー病院近くの宿を取ったこともあり、朝食として午前中から出向くことに。午前7時頃に目が覚めた。しばらく部屋でぐだぐだした後、8時頃にお店の前に到着。シャッターは開いていたが、店内でねえちゃんがご飯を食べている。聞くと「9時から」。いったん部屋に戻り、午前9時に再び到着すると何と店内はほぼ満席状態だ。
地元の夫婦や家族連れらがほとんどで、欧米系客が多い夜中とは雰囲気が全然違う。

ラッキーなことにいちばん奥の6番テーブルが空いていた。私がいちばん好きな席だ。店内の客の様子と料理を作るおかみさんのフライパンさばき、そして表の道路を走るソンテウなどがパノラマのように観察きでるからだ。
ところで何を注文しようか。壁に張ってあるメニューを眺めると、4番の「ポークヌードル」が気になった。チキンヌードルは多くの客が注文しそうだが、ポークとなるとどうなのか。よし、これに決めた。お値段は50バーツ、250円だ。

サッカージャージ姿のにいちゃんが両手で大切そうに運んできたのが、このポークヌードル。タイ語ではクイッティアオ・ムー(Kuaitiao Mu / ก๋วยเตี๋ยวหมู)だ。
透明なスープはナムサイと呼ぶので料理全体の名前はクイッティアオ・ムー・ナムサイ (Kuaitiao Mu Nam Sai)。クイッティアオとは米粉などの麺料理の総称、ムーとは豚肉、ナムサイとは透明(クリア)なスープ。さらに麺の種類は最もポピュラーな中細麺のセンレック (Sen Lek)。
麺の上に乗っかっている具材が凄い。豚肉のスライス、ひき肉、豚肉のルークチン(つみれ)など数種類がたくさん入っている。同じ豚肉でもそれぞれ食感が際立っており、立体的な味を構成している。

もちもちした中細麺。

クリアなスープ。刻みネギとパクチーの刺激が香ばしい。

途中で唐辛子の輪切り酢を投入。

さらに唐辛子の粉末を投入しラストスパートだ。

額にじわりと汗が浮かぶ。同時に胃にもスパイシーな刺激が広がる。店内にあるフリーのミネラルウオーターをゴクゴク飲んで、ふー、ご馳走様。
しばらく余韻に浸っていると、隣の席に父親と20歳前後の娘さん2人、それに叔父らしき男性の計4人が着席。英語で注文していたが、身内では韓国語でしゃべっている。この娘さんがK-POPガールズグループのメンバーのようなビジュアル。お店のにいちゃんは急に相好を崩し親子にミネラルウオーターをマグカップに入れて赤いストロー付きで運んだりと愛想を振りまいている。
麺類を1人1杯ずつ。さらに2杯を追加し計6杯を4人でシェアするという豪快な食べ方。その前に一度、若い女性店員が完成した麺を運ぼうとしたところ、にいちゃんが一喝。「違うだろ、これ!」。すると厨房に戻り、どんぶりの中から青い野菜を取り除いている。どうやら注文を受けた際、「パクチーは入れないでください」と言われたのを失念してしまったようだ。このパクチーが旨いのになぁ、と隣席をちらりと眺めながらひとり言。
それにしても名無し食堂については観光客から「店員さんの愛想がない」との口コミがあるが、拙い英語で注文すればそりゃうまく聞き取れず表情も曇るというもの。タイ語を勉強してタイ語で注文してみたらいかがだろうか?

午前9時の名無し食堂はオープンと同時にほぼ満席となり、夜とは違う客層で賑わっていた。そんな雑多な雰囲気が好きだ。

