【ソウル・弘大】観光客に人気の“百年参鶏湯”はミシュラン選定 薬膳のとろけるスープにやわらかな鶏肉 スープは生姜、大蒜、朝鮮人参の香りが溶け合い絶品

【韓国編】

ソウル・弘益大学周辺の繁華街から少し足を延ばして約5分。大通り沿いに大人気の参鶏湯屋がある。連日、中国人観光客の団体や欧米系グループが訪れ満員御礼状態だ。混雑を避けるため午後2時過ぎに訪問するとまだ客席は満席状態。ミシュランに選ばれたこと、ハラル対応していることが人気の大きな理由だろう。その名も「百年土種参鶏湯」。

入り口ドアに「2017年ミシュラン選定」の赤いポスターが誇らしげに張ってある。

奥の方に1つテーブルが空いており、店員さんが手招きで「こちらへ」と合図。お目当ての「土種参鶏湯」(1万7000ウォン、約1700円)を注文。

テーブルの横に可愛い鶏の模型。

先に青唐辛子とタマネギ、辛子みそが登場。

テーブルの上には白菜キムチとカクテキが入った大型の壺。自由に食べられる。牛丼屋の紅ショウガと同じ要領だが、もちろんこちらの方がボリューム満点。

5分とたたずにメインが登場。ぐつぐつ煮えていて湯気が立ち上っている。そして香りが実によい。生姜と大蒜、朝鮮人参、棗(ナツメ)とネギ、鶏ひな肉のエキスが溶け合ったまろやかな香り。がぜん食欲が湧いてきた。

テーブルの塩と胡椒で味を整える。

煮詰められた鶏肉はやわらかく箸で簡単にほぐれていく。中を開くと高麗人参、ナツメ、もち米が次々と姿を現した。

ご飯が少ないように見えるが、その分、ひな鳥が丸ごと1羽入っているので分量が半端ない。隣席の欧米系グループは鍋に骨とスープをかなり残していた。骨はテーブルの上に別の容器があってそちらに移すのだが、作法に気が付かなかったようだ。私は当然、小骨から軟骨まですべてを味わい尽くし、スープも最後の1滴まで残さず飲み干した。

あー、旨かった! 参鶏湯と言えば光化門の西側エリアにある超有名店「土俗村」がつとに知られているが、「百年土種参鶏湯」もかなりの味わいだ。4年前の1万ウォン(約1万円)から1万7000ウォン(約1700円)への値上がりが財布に痛いが、別日の食費を倹約すれば手が届く。

「私たちの体には土種が良い」。「土種」とは「その土地固有のもの」という意味だ。輸入品に頼るのではなく自分たちが住む大地で大事に育てた野菜や動物が体にいちばん良いのだ、という教えは農業の在り方を物語っている。

店内には鶏にちなんだオブジェがたくさん飾ってあって見ているだけでも楽しい。