NEW!【宿泊レポート】香港・アミーゴイン(花園賓館)は魔窟ビル内の驚狭にして法外6000円 香港の物価高を実感

【香港・中国編】

香港の物価が高いとは聞いていたが、このホテルに泊まってそれが体感できた。重慶マンション内で民間が経営している極めて小規模の狭い部屋に泊まるのは避けたい。agodaで検索すると、旺角駅界隈に安宿が何軒か点在している。そこで見つけたのが花園賓館。ちょっとしたビジネスホテルは1万円を軽く超える超高価格帯に跳ね上がっている。その点、花園賓館は6000円ほど。実際に到着して驚いた。そのワケとはーー。

こちらの入り口を上っていく。怪しさ満点だ。

エレベーターなどない。2階に「富城賓館」があり、「花園賓館」の入り口は4階だ。

4階らしきフロアに到着すると、なぜかそこは2階で、そこからエレベーターに乗ってさらに上に移動する。すると、そこが4階。どうなってるの? そしてこちらのドアを発見。

扉を開いて中へ入ろうとしたら、宿のおばちゃんが待ち構えていた。私をではなく、私より先に入っていった大陸から来た中国人カップルを。この若いカップルも度肝を抜かれたかのような困惑の表情を浮かべつつも、おばちゃんの招きで奥の部屋へ恐る恐る入っていった。

おばちゃんは広東語で何やら説明してくれているが、まったく聞き取れず。とりあえず、1泊10香港ドルの税金とデポジット100香港ドルが欲しいようだ。人民元しかなかったので先に100元渡して部屋へ。税金は25元で「OK」とニコニコ。

狭い…、いや狭すぎる。キャリーケースを広げる空間もない。

テレビはかろうじて映る。窓の外は花園路。明け方になると、大型車両がエンジンかけっぱなしで停車していて騒々しい。

トイレとシャワーは無理やり一緒に詰め込んだ感じ。清潔度もかなり低い。それでも他に選択肢はない。諦めの境地で「寝るだけだし…」と自分に言い聞かせるしかなかった。

まるでバックパッカーの過酷な旅を描いた沢木耕太郎の小説『深夜特急』の世界だ。あるいは谷恒生の小説『バンコク楽宮ホテル』か。今時、バンコクの安宿でもこんな部屋は絶滅しているのでは。とはいえ、最低限のレベルは保っており、崩壊とまではいえない状態。香港の住宅事情を考えるとこれぐらいはむしろ当たり前なのかもしれない。

ふと、先ほどフロントで出会った若い中国人カップルのことが気になった。1泊耐えられるだろうか。女子にはちょっと可哀そうな環境だ。なにしろ、“魔窟”という言葉がそのまま当てはまりそうな宿だから。

唯一良かったのは旺角周辺のごちゃごちゃな街の活気を感じられたこと。女人街、スニーカーストリート、夜店の数々…。コンビニエンスストアもあちこちにあって買い物は便利だ。小さめのイオンモールもあるので日本の食材が恋しくなったら買い物に行けばいい。

香港の雑多な雰囲気を感じたいのなら、こちらのホテルも選択肢の一つだろうが、1泊が限界かも。